第1講義は、「これからの社会保障、社会ビジョンについて」をテーマに、廣井良典・千葉大学法経学部教授から、「これからの社会保障と、持続可能な福祉社会の構想」―これからの日本社会と政策・政治理念について講義を受けました。

  廣井教授は、冒頭、現在の日本の閉塞状況について、「経済成長」に代わる価値の喪失をあげ、目指すべき「社会モデル」が見えないし、政党もそうしたモデルを十分しめし得ていないことを指摘しました。

 そして、日本の政治においてなによりも必要なことは「二大政党制を通じた対立軸の明確化」が重要であることを強調しました。

  また、これからの日本の社会保障のあり方について、「医療・福祉重点型の社会保障」が妥当であるとして、医療・福祉はリスクの予測が困難でかつ、個人差が大きいことをあげ、「公的な保障の必要性」を強調しました。また、日本の患者自己負担(医療費全体に占める割合)は先進国の中で既にもっとも高い水準にあることも報告されました。さらに、個人の「自由」(自己実現の機会)を保障する制度としての社会保障の重要性が繰り返し訴えられました。

  これからの社会のあり方について「定常型社会」を提唱し、「経済成長と労働生産性上昇の無限のサイクル」からの脱却を訴えました。そして、現在は、供給(生産)過剰が一般化している時代であり、「労働生産性の上昇分を労働時間削減で対応する」という発想への転換を強調しました。また、定常型社会は自ずと分権型社会となっていくとの見通しを述べました。

  最後に、新しい政治の構想と政治哲学の必要性について、「環境主義(エコロジズム)と結びついた社会民主主義」の確立が課題ではないかとして、日本はもっとヨーロッパ型の社会モデルに目を向けるべきだと強調しました。そして、何よりも政治の重要性、二大政党制についての期待を込めて講義を締めくくりました。

  

 第2講座は、「自分らしく生きる(男女共同参画の進め方について)」をテーマに、神本美恵子・参議院議員(民主党「次の内閣」こども・男女共同参画担当大臣)から、「男女共同参画の現状と問題点、今後の展望」について講義を受けました。

  神本参議院議員は、冒頭、沖縄での「米軍兵による少女暴力事件」を取り上げ、沖縄だけの問題ではなく、「日本人の中にも性暴力に対する考え方も問い直さなければならない問題も含んで居るのではないのか」と問題を提起しました。

  また、大きな社会問題となっている「DV(ドメスティクバイオレンス)」の問題について、DV被害者の生活支援、対策が緊急の課題となっていることを強調するとともに、「性暴力を無くすためには性加害防止教育の必要性」を繰り返し訴えました。

  また、「ワークアンドライフ」について、日本は先進国の中でも「幸福度は」低いことを例に挙げ、「子どもが孤独感を感じている割合が高い」事を指摘しました。

  そして、「子どもを産み、育てることは、個人の責任ではない」、社会全体のものという意識にならない限り、「少子化」は止まらない事を強調し、フランスの例などを紹介しながら、「国が子どもにお金をかける」事が必要だと訴え、民主党の「子ども手当」に対する理解を求めました。