民主党千葉県総支部連合会(長浜博行代表)は、6月18日千葉市の党県連会議室で「政治スクール(千志塾)」第7回講座を開きました。
 第7回は「市町村行政の課題」をテーマに、自治体改革の先頭に立って活動している、福嶋浩彦・我孫子市長を講師迎え、「市民自治を理念に『新しい公共』を」と題して講義を受けました。
  講義では、福嶋講師が、「大きな公共と小さな政府」を目指す取り組みについて、我孫子市での数々の実践を踏まえた報告と問題提起がありました。3期10年余の実践を踏まえた「含蓄のある言葉」に参加者も熱心に耳を傾け、講義終了後も熱い質問が続出しました。講座には、長浜代表をはじめ40名の受講生が出席しました。

 福嶋講師は、冒頭、もともと「民」と「官」で担うのが「公共」だとして、明治以降の「官」が行政を支配し、肥大化してきた歴史を振り返りながら、「民の側」にも、「官依存の体質」があると、根本的な関係改善の必要性を改めて強調しました。
  また、「行政権力」を持たなければならない仕事もあるとして、「社会的サービス」がキチント供給される社会、「民間の活動」を下支えしていく行政など、これからは「サービスをコーディネイトする」のが行政の仕事となると訴えました。
 そして、具体的な例として、「介護問題」について、殆どが民間が行っており、制度の運営をしているのが行政だとして、「民間にまかせられる」ものは民間に任せるべきだと強調しました。
  さらに、公共の果たす役割は大きくなってきており、全部市場原理に任せることではない。出来るだけ、地域のコミュニィティの中で「公共」を担うことが大切だとして、公共サービスを担う多様な民間の主体を育て「大きな公共と、小さな政府を目指す」ことの重要性を繰り返し強調しました。  

 福嶋講師は、現在、我孫子市で市の全ての事務事業(約1200)を公表して、企業、民間から「民営化の提案の公募」に取り組んでいることを報告しました。
  これまでは、基本的に行政の側で決めてきた。今回は、民間の側から提案してもらい、市の仕事を民間が奪っていくというもの。
  現在、年2回の提案の審査(市職員と市民、有識者で審査)―第1回目は8月締め切りで、これまで40〜50件の問い合わせが来ている。
  審査の基準は、本当に市民にとってプラスになるかどうか。これを通じて、民と官との役割分担を根本から見直していく。
  また、提案を受けて、市も入り、一緒に提案を作り上げていく。また、審査については、全ての分野で出来ないので、分科会を設けて市民、行政が入って行っていく。
  行政の全ての仕事を対象としており、基本的な考え方と詳細な設定はせずに、歩きながら創っていくのが特徴であることが、強調されました。

 続いて、福嶋講師は、「新しい公共」の一方の担い手である行政は、主権者である市民のコントロールの下に、選挙だけでなく、日常的に市民があらゆる分野に直接参加する事が大切だとして、我孫子市での取り組みを報告しました。
  行政が市民の存在と別の所にあるわけではない。市民のコントロールの下にあるべきであり、コントロールは「選挙が基本」。それだけに市長と議員をキチント選ぶ事の重要性を強調しました。
  そして、行政のこれまでは、国の基準に基づいて運営されてきたが、これからは市民の意思に基づいて行われるべき。その意味でも、「どのような理念と政策でやっていくのかが明らかにする事」ローカルマニフェストが必要だと訴えました。
  そして、自治体に日常的に市民が直接参加して行くことが大切であり、「市民が行政を変えていく事になる」と、訴えました。

「補助金の公募と市民審査」

 
これまで様々な市単独の「補助金」が出されていたが、「制度としての補助金」を廃止し、公募し審査して出すこととなった。この中には、「医師会」「連合」への補助金も含まれていたが、例外はひとつも設けず、既得権を無くし、「補助金」を減らすことが出来た。そして、必要なところに「補助金」を出し、3年ごとに白紙に戻し、再公募をしていくことにしている。

「民間から市職員の採用試験委員」

 これまで、市職員の採用について、市民の多くは「コネが無いと入れない」と思っていた。そこで、「一切の縁故採用を廃止」し、民間から市職員の採用試験委員を入れ、採用試験を行ってきた。これによって、「民間の経験者」を含め様々な人材が増え始めている事など、「聖域にこそ市民が参加する」とりくみが報告されました。

「目的をはっきりさせて、市民債の発行」


  市の運営には「必要経費」がかかる。自然環境保護(古利根沼保全)のための水面取得の為の財源として、市民との合意によって「市独自の市民債権」を発行した。
  「目的をはっきりさせ」た債権は、自分の金がまちづくりに役に立つーとして、利率も国債を下回ったにもかかわらず、目標の2億に対し、10億の応募が寄せられた。これによって、市民と合意しながら、資金確保などを多様に考えて行くことが可能となったことが強調されました。
  さらに、我孫子市では  「常設型の市民投票制度」、「予算編成の過程を公開」「市民による条例案の提案制度」などが、取り組まれていることが報告されました。  

 福嶋講師は、2003年に、3000人市民アンケートで57%の市民が「合併すると我孫子市が市民と協力して進めてきた独自のまちづくりが継続できなくなる」との回答や、「市民と議論を重ねた結果」、「意志を持って」合併を見送った事を報告。
  さらに、これからの課題として、異なる立場の違う意見を持つ市民同士が、キチント対話をして合意を生み出せるかどうかだとして、これまでの「行政に要望する陳情政治」の延長か、自分の発言に責任を持って自治に向けた参加をしていくのかが問われている。
  現実は、異なる意見を持つ人と対話をするのを避ける傾向があり、市民参加を勧めていけば、「市民同士の対立」も起こる。市民の中には異なる立場、意見の違いが多様にあるので避けられない現実だ。参加した場で、キチンと対話をして合意を生み出してこそ、市民自治につながる事を繰り返し訴えました。そして、その上で、行政職員も、市民がキチンと議論をしていけるようコーディネイトしていける能力が必要になっていると、付け加えました。
  これらの問題について、まちづくりの実践の中で、試行錯誤を繰り返しながら、より成熟した自治能力を身につけていくことしの大切さを繰り返し強調して、講義を締めくくりました。